体・健康豆知識
2025年2月6日 木曜日
遺伝子検査について
最新の遺伝子研究は患者と非患者のゲノム解析により異なる遺伝子の特徴を見極め、予防や治療の標的を精査するものとなります。しかし、単一遺伝子疾患というのは稀で、複合的に考えねばならず、検査結果は慎重に受け止めるものと専門家は警鐘を鳴らしています。ゲノム研究の技術の進歩は目覚ましく、あたかも、個の未来予想図が描かれていて、運命も決定付けられているよう。しかし、人生は複雑で厄介で、巷に溢れかえる様々な医療情報でさえ、占いのバイアスがかかっているように思う自分がいます。日々、患者さんの健康寿命に携わり、月々、日々に想うこと。非力で、微力な自分をいつも痛感しながらも、愚直に精一杯、一所懸命に地域医療に邁進していこうと思います。自分、不器用ですから
2025年2月3日 月曜日
睡眠の謎
脳を持つ生物は、外敵に気付きにくくなる睡眠、意識のオフライン化を、なぜ毎日行うのか、眠気の実態とは、根源的な所は謎だそうです。脳の覚醒を保つ「オレキシン」という物質を発見した筑波大学の柳沢正史教授(ノーベル賞級の成果)は語ります。睡眠は日中の記憶を整理するだけでなく、体で覚える「技能記憶」「マッスルメモリー」も定着、しっかり眠ると洞察力もアップするそうです。日中に突然眠気に襲われる居眠り病といわれる「ナルコプレシー」もオレキシンの消失によるものとか、不眠の60%は睡眠誤認で、実は中途覚醒はあるもの良質の睡眠は十分に取れているとか、週末の寝だめは時差ボケを生むとか、研究成果を発表しています。「寄生獣」というマンガでミギーが突然眠気に襲われる設定は深いな~と思ったりもしました。さて、春節は立春、暦の上では、いまから、ここからです。今、朝5時、目覚まし時計なしで、勝手に起きます。初老の自分が朝型になっているもの、自然なことのよう
2025年1月30日 木曜日
夢を見るということ
私たちの脳は、日々、五感で得た情報を記憶しています。就寝中に整理整頓、分別作業が行われ、記憶のかけらがランダムにつなぎ合わされて、映像化されたのが夢の正体です。悩みや不安を抱えていると、「悪い夢」を見やすい傾向にありますが、葛藤を抱えて辛い気持ちになりますが、プレッシャーや不安といった感情を整理し、問題を好転させようと頑張っている「しるし」と捉えることもできます。しかし、忘れたいのに忘れられない恐怖により、途中で起きてしまうのは「悪夢」。繰り返し登場するのは、トラウマ(心的外傷)が関係していますので、区別が必要です。悪夢の筋書きをハッピーエンドに書き変える認知行動療法があり、夢であると自覚しながら夢を見る「明晰夢」ができると良いといわれます。又、「金縛り」について。体が疲れすぎ、かつ脳が興奮していると、入眠直後、頭は覚醒しているのに、筋肉が弛緩して急速に力が抜けていくと、体がマヒした状態になって動けなくなる入眠時幻覚で、「心霊現象」ではないようです。結論、睡眠環境を整えて、アロマテラピーなども活用し、一旦、悩みを棚上げして、「いい夢」見ましょう
2025年1月27日 月曜日
いびきについて
鼻から喉までの空気の通り道を「上気道」と言います。上気道が狭まるその摩擦音がいびきです。睡眠時無呼吸症候群の方は危ないいびきをされますね。横向き寝により気道を確保されると良いでしょう。上になる脚を前に出すとニュートラルポジションになり楽かも。又、飲酒によりいびきが大きくなるのは、アルコールにより筋肉が緩み、気道が狭くなることで起こります。舌筋の強化です。舌も鍛えられます。「あいうえお体操」「パタカラ体操」など健口体操が普及され、健康寿命に一役かっています。これから「就寝」についてのトピックを連投します
2025年1月22日 水曜日
痛風の誤解
最近の研究によって、昔の常識が、どんどん覆されています。痛風のプリン体由来の発症は10%で、勿論、「肥満」「飲酒」「加齢」は発症リスクを上げますが、遺伝的な体質による影響が強い事が分かりました。アジア圏に圧倒的に多い病気である事も、その裏付けです。尿酸値を7以下に下げる生活習慣、体重管理等は必要ですが、ビタミンCや牛乳の摂取も効果があるようです。話は変わりますが、風邪の予防にビタミンCという定説は否定されています。「常識を疑え」というキャッチーなコピーが溢れかえる今日この頃ですね
2025年1月14日 火曜日
高齢者の腰痛
腰痛の原因の一つに「固有感覚機能」の衰えがあります。筋肉、腱、皮膚、骨膜にはセンサーに当たる「受容器」が張り巡らされています。それが、衰えるとバランス感覚に問題が生じ腰痛を引き起こします。画像検査(X線、CT、MRI)で原因を特定できない一定数の患者に対し、その可能性を示唆します。高齢者に多く、受容器に特定の周波数の振動刺激を与え腰痛が改善する治験を国立長寿医療研究センターが取っており、腰痛に「振動」が有効と報告。当院はルティーナ(低周波、中周波のハイブリット電気治療器)を導入しています。テストの一つとして、「足踏み」。目をつぶって、その場で100回、1メートル以上動いていたらバランス感覚に問題があります。その改善を図るリハビリで腰痛を緩和していきましょう
2025年1月9日 木曜日
お風呂のススメ
「湯治」として古来から親しまれている入浴には「温熱作用」「静水圧作用」「浮力作用」の3つの健康効果が知られています。血行促進、痛みの軽減、睡眠の質の向上、自律神経の調整です。湯温40℃であれば、副交感神経優位となり、食後30分後の入浴が勧められ、90分後の就寝のタイミングが深部体温が下がり、寝つきが良くなります。積極的に取り入れたいものですね。ヒートショックは血圧の乱高下で引き起こされますので、浴室をシャワーでかけ流しておいたり、脱衣所を温めておく必要があります。当院では「オンパー」という超音波浴で手足の治療に活用、効果は実証されています
2024年12月31日 火曜日
冬季うつについて
一般うつと異なり、過眠と過食の症状が出る「冬季うつ」。冬の日照時間が極端に減る北欧やイギリスでは一般的な病のようです。日照時間が短くなり、セロトニン、脳内ホルモンの分泌が減る事が大きな要因です。インスリンやメラトニンの分泌も関係して、体内時計が狂います。「起立性調節障害」、朝起きられない症状も。日本においては、北海道や日本海側の北陸などに多くみられるようです。能登半島地震から丸1年、心配されます。光療法といい、1万ルクスの照射器を活用したりするのですが、太陽光は数万ルクス、日光浴を心がけたいものです。大晦日いかがお過ごしでしょうか。本日、午前中の診療をもって終了。大掃除に入る当院、お正月は3ヶ日は休診。4日(土)から開始致します。今年も多くの患者さんに来院して頂き、多くのの出逢いを有難うございます。来年がお互いにとって、より良き年でありますように、お互いの努力が報われますように
2024年12月17日 火曜日
防寒対策について
人間は生きるために、脳や臓器など体の内部の深部体温(コア体温)を37度前後に保つ必要があります。そのために、体には体温調節機能が備わっています。寒い時には血管が収縮して、皮膚への血流量を制限してコア体温の低下を抑制します。皮膚血管の中でも手足にあるAVA血管(動脈と静脈をつなぐ吻合)が真っ先に強く収縮するために、寒さは手足に現れ、痛く感じる所以です。又、胴体に比べて、手は20倍、足は70倍も熱を放散しやすいといわれます。手袋、靴下、ホッカイロ必要ですね。重ね着をすることにより、衣服の間に空気層が生まれ、保温効果が増します。しかし、4枚まで。5枚以上だと空気層が潰れて、効果が下がるようです。ダウンなどのもこもこ、ふあふあが寒さをしのげるわけですね。温かい空気は上昇して、首元から逃げてしまうので、マフラー、ネックウォーマーも非常に大切です。冬型の気圧配置が続き、寒さが身に染みます。コア体温をぽかぽかに。温かいスープ~あったかいんだからぁ
2024年12月3日 火曜日
最新のスポーツ科学
「乳酸は筋肉のエネルギー源でもある」「軽い重さでゆっくり筋トレすると筋肉量が増える」「鉄は朝に摂ると良い」等、運動科学の知識は日々アップデートされています。昔は1日休むと取り戻すのに3日かかると言われ、日本人の国民性でしょうか、「休む=楽をする」というイメージの為、オーバーワーク。トレーニンの効果は、その最中ではなく、休んでいる時に発揮され、強くなるのでレストは必要です。筋トレにプロテインは必要ですが、筋肉の分解・合成は常に起きているのでタンパク質の摂取は3食満遍なく。乳酸は筋肉(遅筋)のエネルギー源として利用されるので激しい運動後にゆっくり体を動かしてクールダウン。過去に成功した練習法・指導法であっても人が変われば効果が変わる。これまでに成功者がいる一方、好きな競技で始めたのに、リタイアやスランプに陥る選手は後を絶たない。今までの常識を疑い、変えるべき点は勇気を持って変えていく姿勢、これはどの界隈でも必要なんだろうと思うのです